下肢静脈瘤の血栓リスクは?種類と危険なサイン・受診の目安

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監修医師

志村 一馬

志村 一馬 医師

川越下肢静脈瘤膝関節クリニック 院長

当クリニックでは傷跡が目立ちにくい治療方法である、血管内焼灼術を健康保険適用でお受けいただくことができます。お気軽にご相談ください。

下肢静脈瘤があると「血栓ができるのでは?」「放置しても大丈夫なの?」などと不安に感じる人も多いのではないでしょうか。
血栓はすべての人に生じるわけではありませんが、血流の停滞などが重なることで発生しやすい状態となることがあります。

この記事では、下肢静脈瘤に伴う血栓の種類や危険なサイン、起こりやすい人の特徴、予防方法、受診の目安などをくわしく解説します。

※当クリニックでは『深部静脈血栓症』の診断と、その治療は行っておりません。なお、深部静脈血栓症が疑われる症例に関しては、すべて他の医療機関に紹介しております。あらかじめご了承ください。

下肢静脈瘤で気になる2つの血栓の種類

血栓は発生する部位によって性質やリスクが異なります。下肢静脈瘤に関連して注意される主な血栓は、以下の2つです。

  1. 表在性血栓性静脈炎

  2. 深部静脈血栓症

下肢静脈瘤では、表在性血栓性静脈炎がみられることが多い一方で、深部静脈血栓症は、重篤な合併症につながる可能性があるため、注意が必要です。

1.表在性血栓性静脈炎

表在性血栓性静脈炎は、皮膚に近い表在静脈に血栓が形成され、炎症を伴う状態です。
主な症状として、血管に沿った発赤や腫れ、圧痛などがみられます。
多くの場合は、局所的な炎症にとどまり、経過とともに改善していくのが一般的ですが、血栓の位置や広がりによっては、医療機関での評価が必要となる場合があります。

また、下肢静脈瘤のある血管では血流の停滞が起こりやすく、表在性血栓性静脈炎が生じやすいとされています。

なお、血管内焼灼術後にみられる頻度は、0.01〜1.0%程度と報告されています。

2.深部静脈血栓症(DVT)

深部静脈血栓症(DVT)は、下肢の深い静脈に血栓が形成される状態で、いわゆる「エコノミークラス症候群」の原因のひとつとして知られています。
血栓が血流に乗って肺に移動すると、肺塞栓症を引き起こす可能性があり、呼吸困難などの重篤な症状につながることがあります。
血管内焼灼術後に発生する頻度は0.01〜0.1%程度とされていますが、長時間の同一姿勢や基礎疾患など複数の要因が重なることで発症リスクが高まると考えられています。

下肢静脈瘤クリニックでは、血栓の判別のために超音波検査を実施しています。血栓の有無や下肢静脈瘤の状態を正確に診断いたします。

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下肢静脈瘤が血栓を引き起こすメカニズム

下肢静脈瘤は、足の静脈にある弁の機能が低下することで血液が逆流・うっ滞し、血管が拡張・蛇行する疾患です。
進行に伴い、だるさやむくみ、皮膚変化がみられることがあります。
下肢静脈瘤そのものが必ず血栓を引き起こすわけではありませんが、血流の停滞や血管壁への負担が続くことで、血栓が形成されやすい状態が生じます。

1.血流のうっ滞

静脈弁の機能低下により、血液が心臓方向へ戻りにくくなり、下肢に血液が滞りやすくなります。
血流速度が低下した状態では血液が停滞しやすく、血栓形成の要因となります。

2.血管壁への慢性的ダメージ

静脈の拡張や蛇行により、血管壁には持続的な負担がかかります。
こうした状態が続くと、血管内皮の機能が低下し、血小板が付着しやすい環境となり、血栓形成につながることがあります。

下肢静脈瘤治療後に起こる血栓リスクについて

下肢静脈瘤の治療を検討する際、「治療後に血栓ができることはあるのか」と不安に感じる方もいるかもしれません。
実際、治療後に血栓がみられるケースはありますが、発生頻度は高くなく、多くは適切な経過観察のもとで対応されます。

ここでは、治療後にみられる血栓の特徴や発生の背景、注意すべき症状について解説します。

治療後に血栓がみられる背景

血管内焼灼術などの治療では、静脈に熱や刺激が加わるため、一時的に炎症反応が生じることがあります。
この影響により、表在静脈に血栓が形成される場合があり、術後にみられる反応のひとつとして知られています。

なお、血栓が確認された場合でも、それだけで治療の結果を示すものではなく、状態に応じた経過観察や対応が行われます。

術後にみられる表在性血栓性静脈炎の頻度

血管内焼灼術後にみられる合併症のひとつとして、表在性血栓性静脈炎が挙げられます。
発生頻度は約0.01〜1.0%と報告されており、多くは局所的な炎症にとどまります
発赤や軽い痛み、しこりなどの症状がみられることがありますが、経過とともに軽快するのが一般的です。

一方で、症状の程度や血栓の広がりによっては、医療機関での評価が必要となる場合もあります。

術後にみられる深部静脈血栓症(DVT)の頻度

深部静脈血栓症は、下肢の深い静脈に血栓が形成される状態で、術後にみられることは多くありません。
報告されている頻度は約0.01〜0.1%程度とされており、術前評価や術中の管理によりリスク低減が図られています

ただし、術後に片脚の急な腫れや強い痛みなどの症状がみられる場合には、速やかに医療機関での確認が必要です。

過度に不安を感じる必要はないとされる理由

術後にみられる血栓は、多くの場合、発生頻度が低く、適切な管理のもとで経過観察が行われます。
治療前後に血管の状態が評価され、術後もフォローが行われるため、変化があった場合にも、早期に対応する体制が整っています。
不安がある場合は、自己判断せず医療機関で相談し、状態に応じた説明を受けることが望まれます。

下肢静脈瘤の血栓と心筋梗塞・脳梗塞の関連性

血栓と聞くと、「心筋梗塞や脳梗塞につながるのでは」と不安に感じる方も少なくありません。
心筋梗塞や脳梗塞は、主に動脈に生じた血栓や動脈硬化が関与する疾患であり、下肢静脈瘤に関連する血栓とは発生部位や性質が異なります。

そのため、下肢静脈瘤に伴う血栓が、直接的に心筋梗塞や脳梗塞の原因となることは一般的ではありません
一方で、肥満や糖尿病、高血圧などは血栓症や動脈硬化の共通のリスク因子とされています。
こうした背景がある場合には、全身の血管リスクとして注意が必要となることがあります。

下肢静脈瘤で血栓のリスクが高くなりやすい人の特徴

下肢静脈瘤で血栓のリスクが高くなりやすい人の特徴をまとめた図

血栓の発生には個人差があり、必ずしもすべてのケースでみられるわけではありません。
ただし、複数の要因が重なることで、血流の停滞や血液凝固のバランスが変化し、血栓が生じやすい状態となることがあります。

主な特徴として、以下が挙げられます。

  • 静脈瘤が進行している

  • 痛みや赤み、しこりなどの症状がある

  • 長時間同じ姿勢で過ごすことが多い

  • 妊娠やホルモン変化がある

  • 高齢、肥満、喫煙などの要因がある

  • 血栓症の既往や家族歴がある

1.静脈瘤が進行している

静脈瘤が進行すると、血液の逆流やうっ滞が生じやすくなり、下肢に血液がとどまりやすい状態となります。
こぶ状の血管や皮膚変化(色素沈着、湿疹など)がみられる場合、慢性的に静脈へ負担がかかっている状態と考えられます。

2.痛み・赤み・しこりがみられる

静脈に沿った痛みや熱感、赤み、しこりなどがみられる場合には、表在性血栓性静脈炎が疑われることがあります。
これまでと異なる症状がある場合は、医療機関での確認が検討されます。

3.長時間同じ姿勢で過ごすことが多い

デスクワークや長距離移動などで同じ姿勢が続く場合、下肢の筋肉を動かす機会が少なくなり、血流が停滞しやすくなります。

4.妊娠やホルモンバランスの変化がある

妊娠や産後、ホルモンバランスの変化がある時期には、血液が凝固しやすい状態となることがあります。
また、妊娠中は静脈瘤が生じやすいことも知られています。

5.高齢・肥満・喫煙などの要因がある

高齢や肥満、喫煙は、血栓症の一般的なリスク因子として知られています。

6.血栓症の既往や家族歴がある

過去に深部静脈血栓症や肺塞栓症を経験したことがある場合や、家族に同様の既往がある場合には、血栓形成のリスクが高い状態とされることがあります。

下肢静脈瘤の血栓の検査方法

下肢静脈瘤に関連する血栓は、自覚症状だけで正確に判断することが難しいとされています。
症状が軽い場合もあるため、見た目や痛みのみで判断するのではなく、医療機関で評価を受けることが一般的です。

ここでは、血栓が疑われる場合に行われる主な検査について解説します。

問診や視診で確認されるポイント

診察では、まず問診や視診により症状の経過や変化が確認されます。
血栓が疑われる場合には、以下のような点が参考にされます。

  • 突然の痛みや熱感、しこりの有無

  • 症状の持続や悪化の経過

  • 片側の下肢に限局しているかどうか

これらの所見を踏まえ、必要に応じて追加の検査が検討されます。

超音波検査(エコー)の役割

血栓の有無や状態の評価には、超音波検査が広く用いられています。
超音波検査では、表在静脈および深部静脈の血流や血栓の有無、静脈弁の逆流の程度などを確認することが可能です。

また、血栓の位置や広がりを把握できるため、その後の対応方針を検討するうえで重要な情報となります。

その他の検査(CT・MRIなど)

超音波検査で評価が難しい場合や、肺塞栓症などが疑われる場合には、CTやMRIなどの画像検査が検討されることがあります。
これらの検査は、症状や検査所見に応じて必要性が判断されます。

日常生活でできる!血栓の予防方法

下肢静脈瘤における日常生活でできる血栓予防の方法をまとめた図

血栓は、血流の停滞や炎症などが重なることで生じやすい状態になります。
こうした状態は、日常生活の過ごし方によっても影響を受けるとされています。
特に下肢静脈瘤がある場合は、血流が滞りやすい環境が続きやすい点に注意が必要です。
日常生活では、血流を滞らせない工夫や生活習慣の見直しが、状態の安定化につながる要素といえるでしょう。

1.長時間同じ姿勢を避ける

立位や座位が長時間続くと、下肢の血流が滞りやすくなります。
こまめに歩く、足首を動かす、休憩時に脚を軽く上げるなど、下肢の筋肉を動かす習慣が取り入れられます。

2.生活習慣の見直し

肥満や喫煙は、血管機能や血液の凝固に影響を与える要因とされています。
バランスのよい食事や適度な運動など、日常的な生活習慣を整えることが、全身の血管状態の維持にもつながります。

3.症状の変化への気づきと対応

静脈に沿った痛みや赤み、しこりがみられる場合には、表在性血栓性静脈炎が疑われることがあります。
症状の変化がある場合は、医療機関での確認が検討されます。

4.弾性ストッキングの適切な使用

弾性ストッキングは、下肢の血流をサポートする目的で用いられます。
使用にあたっては、サイズや圧迫圧の選択が重要となるため、医療機関での評価に基づいた使用が一般的です。

下肢静脈瘤に対する医療用着圧ソックス(弾性ストッキング)の効果・正しい履き方・使用できない人の特徴・注意点など、くわしくまとめた記事をご用意しています。
ぜひ、あわせてご参照ください。

5.必要に応じた治療の検討

下肢静脈瘤の状態によっては、血管内焼灼術などの治療が選択されることがあります。
血流のうっ滞が改善されることで、症状の軽減につながるケースがあります。

下肢静脈瘤の血栓が気になるときの受診の目安

下肢静脈瘤で血栓が気になるときの受診目安をまとめた図

症状の程度によっては緊急性が高くない場合もありますが、変化がある際には評価が検討されます。
一方で、血栓が疑われる症状がみられる場合には、医療機関での評価が検討されます。
例えば、静脈に沿った痛みや赤み、熱感、しこりなどがある場合には、表在性血栓性静脈炎が疑われることがあります。

また、片側の脚に急な腫れや強い痛みがみられる場合には、深部静脈血栓症の可能性も考えられます。
症状がはっきりしない場合でも、以下のような不安がある際には、医師に相談すると安心です。

  • 血栓の有無について不安がある

  • 静脈瘤の変化が気になる

  • 過去に血栓を指摘されたことがある

自己判断に頼らず、医療機関で状態を確認するという選択肢があります。

血栓が気になるときの相談先|下肢静脈瘤クリニック

下肢静脈瘤に関連する血栓は、症状の強さだけで判断できるものではありません。
違和感程度の軽い症状で血栓が確認されることもあれば、症状があっても血栓が認められない場合もあります。
そのため、不安がある場合には、客観的な検査による評価が行われることがあります。

下肢静脈瘤クリニックでは、エコー検査を用いて、下肢の血流や血栓の有無を確認し、状態に応じた説明が行われています。
検査のみの相談も可能なため、血栓について気になる点がある場合には、受診を検討することができます。

※当クリニックでは『深部静脈血栓症』の診断と、その治療は行っておりません。なお、深部静脈血栓症が疑われる症例に関しては、すべて他の医療機関に紹介しております。あらかじめご了承ください。

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下肢静脈瘤の血栓でよくある質問

下肢静脈瘤があると必ず血栓ができますか?

下肢静脈瘤があっても、すべての人に血栓が生じるわけではありません。 ただし、血流の停滞などの影響により、血栓が形成されやすい状態となることがあります。

血栓があっても治療できますか?

血栓の種類や状態に応じて、対応方法が検討されます。 症状や経過に合わせて、医療機関で評価が行われます。

治療後に血栓ができることはありますか?

治療後に血栓がみられるケースはありますが、発生頻度は高くないとされています。 術後は経過観察が行われ、必要に応じて対応が検討されます。

参考文献

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