監修医師
志村 一馬 医師
川越下肢静脈瘤膝関節クリニック 院長
当クリニックでは傷跡が目立ちにくい治療方法である、血管内焼灼術を健康保険適用でお受けいただくことができます。お気軽にご相談ください。
下肢静脈瘤がある場合、「ストレッチや筋トレをしても大丈夫?」「運動すると悪化しない?」と不安に感じる方も多いでしょう。
下肢静脈瘤があっても、症状や状態に応じて、無理のない範囲で体を動かすことは可能です。
ウォーキングやストレッチ、軽い筋トレなどでふくらはぎの筋肉を動かすことは、筋ポンプ作用をサポートし、足のだるさやむくみなどの症状緩和につながることがあります。
ただし、運動によって一度機能が低下した静脈弁が元に戻るわけではなく、下肢静脈瘤そのものを治すことはできません。
ストレッチや筋トレは、あくまで症状緩和を目的としたセルフケアとして考えることが大切です。
また、痛みや腫れがある場合や、運動によって症状が強くなる場合は、無理に続けず医療機関へ相談しましょう。
この記事では、下肢静脈瘤の方が運動を行う際の考え方や、取り入れやすいストレッチ・筋トレ、注意点について解説します。
下肢静脈瘤がある人に運動は必要?
下肢静脈瘤がある場合も、症状や体の状態に応じて、無理のない範囲で体を動かすことは大切です。
歩行や足首の運動などでふくらはぎの筋肉を動かすと、「筋ポンプ作用」によって足の血液を心臓へ戻す働きをサポートできます。
そのため、適度な運動は足のだるさやむくみなどの症状緩和につながることがあります。
ただし、運動によって一度機能が低下した静脈弁が元に戻るわけではなく、下肢静脈瘤そのものを治すことはできません。
運動不足と足の症状の関係
下肢静脈瘤は、足の静脈にある弁が正常に閉じなくなる「静脈弁不全」によって血液が逆流し、静脈内の圧力が高い状態(静脈高血圧)が続くことで生じます。
一方、ふくらはぎの筋肉には、収縮と弛緩を繰り返すことで、足の静脈の血液を心臓へ押し戻す「筋ポンプ作用」があります。
ウォーキングや足首の運動などでふくらはぎを動かすことは、この筋ポンプ作用をサポートし、足のだるさやむくみなどの症状緩和につながることがあります。
ただし、筋ポンプ作用を高めても、静脈弁不全そのものが改善するわけではありません。
下肢静脈瘤の症状が気になる場合は、必要に応じて医療機関で血管の状態を確認することが大切です。
足のだるさやむくみなどの症状緩和につながる
下肢静脈瘤では、足のだるさや重さ、むくみなどの症状がみられることがあります。
適度に足を動かすことは、こうした症状の緩和につながることがあります。
ただし、痛みや腫れがある場合や、運動によって症状が強くなる場合は無理に続けず、医療機関へ相談しましょう。
下肢静脈瘤の人が取り入れやすいストレッチ5選
下肢静脈瘤がある場合も、症状や体の状態に合わせて、無理のない範囲でストレッチを取り入れることができます。
足首やふくらはぎを動かすストレッチは、ふくらはぎの筋ポンプ作用をサポートし、足のだるさやむくみなどの症状緩和につながることがあります。
ただし、ストレッチは下肢静脈瘤そのものを治すものではありません。
痛みや腫れがある場合や、ストレッチによって症状が強くなる場合は中止し、医療機関へ相談してください。
①足首の曲げ伸ばし
仰向け、または椅子に座った状態で、足首をゆっくり上下に動かします。
つま先を手前に引き、次に遠くへ伸ばす動きを繰り返すことで、ふくらはぎの筋肉を動かし、筋ポンプ作用をサポートします。
デスクワーク中でも手軽に行えるため、長時間同じ姿勢が続く場合にも取り入れやすい運動です。
反動をつけず、ゆっくりとした動作を心がけましょう。
②ふくらはぎのストレッチ
壁に手をつき、片脚を後ろへ引いて、かかとを床につけたまま体重を前へかけます。
ふくらはぎが心地よく伸びる程度で止め、無理に伸ばしすぎないようにしましょう。
入浴後など、筋肉が温まっているタイミングにも取り入れやすいストレッチです。
息を止めず、ゆっくりと行うことを意識してください。
③アキレス腱のストレッチ
壁や椅子などに手を添え、片脚を後ろへ引きます。
後ろ脚のかかとを床につけたまま、両膝を軽く曲げてアキレス腱からふくらはぎにかけて伸ばします。
痛みを感じない範囲でゆっくりと伸ばし、左右均等に行いましょう。
バランスを崩さないよう、安定した場所で行ってください。
④太もも裏のストレッチ
椅子に浅く腰かけ、片脚を前に伸ばします。
かかとを床につけ、背筋を伸ばしたまま上体をゆっくり前へ倒します。
太ももの裏(ハムストリング)が心地よく伸びる位置で止めましょう。
勢いをつけて前屈せず、無理のない範囲でゆっくりと行うことが大切です。
⑤足首回し
椅子に座った状態で片脚を軽く浮かせ、つま先で円を描くように足首をゆっくり回します。
足首を無理なく動かせるため、デスクワークや長時間座って過ごす際にも取り入れやすい運動です。
一方向だけでなく、反対方向にもゆっくり回しましょう。
痛みや違和感がある場合は無理に大きく回さず、動かせる範囲で行ってください。
下肢静脈瘤の人が取り入れやすい筋トレ4選
下肢静脈瘤がある場合も、症状や体の状態に合わせて、無理のない範囲で軽い筋トレを取り入れることができます。
ふくらはぎの筋肉を動かすことは、筋ポンプ作用をサポートし、足のだるさやむくみなどの症状緩和につながることがあります。
ただし、筋トレによって静脈弁不全そのものが改善したり、下肢静脈瘤が治ったりするわけではありません。
重い負荷をかける筋トレや、息を止めて強くいきむような運動は避けましょう。
痛みや腫れがある場合や、運動によって症状が強くなる場合は中止し、医療機関へ相談してください。
1.かかと上げ
壁や椅子などに手を添えて立ち、かかとをゆっくり上げ下げします。
ふくらはぎの筋肉を無理なく動かせるため、筋ポンプ作用をサポートする運動として取り入れやすい方法です。
反動をつけず、ゆっくりとかかとを上げ下げすることを意識しましょう。
バランスを崩さないよう、安定した場所で行ってください。
2.つま先上げ
壁や椅子などに手を添えて立ち、かかとを床につけたまま、つま先をゆっくり持ち上げて下ろします。
足首まわりを無理なく動かせる運動で、かかと上げと組み合わせて行うこともできます。
勢いをつけず、ゆっくりとした動作を心がけましょう。
3.椅子に座って行うかかと上げ
椅子に浅く腰かけ、両足を床につけた状態から、つま先を床につけたままかかとをゆっくり上げ下げします。
座った状態で行えるため、立ったままの運動に不安がある方や、デスクワークの合間にも取り入れやすい運動です。
ふくらはぎの筋肉を意識しながら、無理のない範囲でゆっくり行いましょう。
4.椅子を使ったスクワット
椅子の背もたれなどに手を添え、足を肩幅程度に開いて立ちます。
膝を軽く曲げながら、お尻を後ろへ引くようにゆっくり腰を落とし、元の姿勢に戻ります。深くしゃがむ必要はありません。
無理のない範囲で行い、呼吸を止めずにゆっくりと動くことを意識しましょう。
重い器具を持つなど負荷を加える必要はなく、自分の体重を利用した軽い運動として取り入れてください。
足に痛みや腫れがある場合や、運動中に症状が強くなる場合は中止し、医療機関へ相談しましょう。
ストレッチ・筋トレを行う際の注意点
下肢静脈瘤がある場合も、症状や体の状態に合わせてストレッチや軽い筋トレを取り入れることができます。
ただし、強い負荷をかけたり、痛みや腫れがある状態で無理に運動したりすると、足への負担になることがあります。
ストレッチや筋トレを行う際は、以下の点に注意しましょう。
強い負荷をかけすぎない
重い器具を使った筋トレや、強い力で無理に筋肉を伸ばすストレッチは避けましょう。
ストレッチや筋トレは、無理なく続けられる範囲で行うことが大切です。
回数や負荷を増やすことよりも、足の状態を確認しながらゆっくり取り組むことを意識してください。
息を止めていきまない
筋トレを行う際は、息を止めて強くいきまないよう注意しましょう。
特にスクワットなどの筋トレでは、力を入れるときに呼吸を止めてしまうことがあります。
自然な呼吸を続けながら、ゆっくりとした動作で行うことが大切です。
痛みや腫れがある場合は運動を中止する
足に強い痛みや腫れ、熱感などがある場合は、ストレッチや筋トレを無理に行わないでください。
また、運動中に痛みや腫れが強くなった場合も中止し、症状が続く場合は医療機関へ相談しましょう。
治療後は医師の指示に従う
下肢静脈瘤の治療後は、治療方法や足の状態によって、運動を再開できるタイミングが異なる場合があります。
自己判断でストレッチや筋トレを再開せず、医師から運動について指示を受けている場合は、その内容に従いましょう。
運動だけで下肢静脈瘤は治る?治療との違い
結論からいうと、ストレッチや筋トレなどの運動だけで、下肢静脈瘤そのものを治すことはできません。
運動によるセルフケアと医療機関で行う検査・治療には、それぞれ異なる役割があります。
ここでは、その違いについて解説します。
ストレッチや筋トレは症状緩和を目的としたセルフケア
ストレッチや軽い筋トレでふくらはぎの筋肉を動かすことは、筋ポンプ作用をサポートし、足のだるさやむくみなどの症状緩和につながることがあります。
一方で、ストレッチや筋トレを続けても、下肢静脈瘤の原因となる静脈弁不全そのものが改善するわけではありません。
症状が一時的に和らいだからといって、下肢静脈瘤そのものが治ったとは限らないため注意が必要です。
セルフケアだけで様子を見続けず、足の血管のふくらみや症状が続いている場合は、医療機関へ相談しましょう。
下肢静脈瘤の状態はエコー検査で確認する
下肢静脈瘤が疑われる場合は、下肢静脈エコー検査によって血液の逆流や静脈弁の状態を確認します。
足の見た目や症状だけでは、下肢静脈瘤の有無や血管の状態を正確に判断することはできません。
検査によって血管の状態を確認したうえで、治療が必要かどうかを判断することが大切です。
足の血管が浮き出ている場合や、むくみ・だるさなどの症状が続いている場合は、一度医療機関で相談しましょう。
足の症状が続く場合は医療機関で検査を
ストレッチや筋トレを続けても、足のむくみやだるさ、こむら返りなどの症状が続く場合は、セルフケアだけで様子を見続けず、医療機関へ相談しましょう。
特に、足の血管が浮き出ている、症状が以前より強くなっているといった場合は、一度血管の状態を確認することが大切です。
下肢静脈瘤クリニックでは、下肢静脈エコー検査によって血液の逆流や静脈弁の状態を確認し、下肢静脈瘤の有無や状態に応じた治療をご提案しています。
「運動を続けていれば大丈夫」と自己判断せず、足の血管や症状が気になる方はお気軽にご相談ください。
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下肢静脈瘤のストレッチ・筋トレに関するよくある質問
ストレッチや筋トレだけで下肢静脈瘤は治りますか?
ストレッチだけで下肢静脈瘤そのものを治すことはできません。ストレッチで足を動かすことは、ふくらはぎの筋ポンプ作用をサポートし、むくみやだるさなどの症状緩和につながることがあります。ただし、一度機能が低下した静脈弁がストレッチによって元に戻るわけではありません。ストレッチは、あくまで症状緩和を目的としたセルフケアの一つとして取り入れましょう。
下肢静脈瘤でも筋トレをして大丈夫ですか?
症状や体の状態に応じて、無理のない範囲で軽い筋トレを取り入れることは可能です。かかと上げなどでふくらはぎの筋肉を動かすことは、筋ポンプ作用をサポートし、足の症状緩和につながることがあります。ただし、重い器具を使うなど強い負荷をかける筋トレや、息を止めて強くいきむような運動は避けましょう。痛みや腫れがある場合は、無理に運動しないことが大切です。
下肢静脈瘤の人におすすめの運動はありますか?
ウォーキングや足首の曲げ伸ばし、かかと上げなど、ふくらはぎの筋肉を無理なく動かせる運動が取り入れやすいでしょう。速さや回数にこだわらず、体調や足の状態に合わせて無理のない範囲で続けることが大切です。運動は下肢静脈瘤そのものを治すものではありませんが、日常的なセルフケアとして取り入れることで、足のだるさやむくみなどの症状緩和につながることがあります。
下肢静脈瘤でもランニングをして大丈夫ですか?
症状が軽く、痛みや腫れなどがない場合は、無理のない範囲で行えることがあります。ただし、ランニングはウォーキングよりも足への負担が大きいため、足の状態を確認しながら行いましょう。走っている途中に痛みや腫れ、強い違和感などが現れた場合は中止してください。症状がある場合や、ランニングを続けてよいか判断に迷う場合は、医師に確認すると安心です。