下肢静脈瘤の原因にストレスは関係する?症状への影響や対処法

/ カテゴリ: 下肢静脈瘤
下肢静脈瘤の原因とストレスの関係、症状への影響や対処法

監修医師

志村 一馬

志村 一馬 医師

川越下肢静脈瘤膝関節クリニック 院長

当クリニックでは傷跡が目立ちにくい治療方法である、血管内焼灼術を健康保険適用でお受けいただくことができます。お気軽にご相談ください。

「ストレスが原因で下肢静脈瘤になるのでは?」と不安に感じている方もいるでしょう。
結論からいうと、ストレスが下肢静脈瘤を直接引き起こすことはありません
下肢静脈瘤は、足の静脈にある弁の機能が低下して血液が逆流し、静脈の圧力が高まることで起こる病気です。

一方で、ストレスは心身の状態や生活習慣に影響し、足のだるさやむくみなどの不調を感じるきっかけになることがあります。
ただし、こうした症状への影響と、下肢静脈瘤そのものの発症・進行は分けて考える必要があります

この記事では、ストレスと下肢静脈瘤の関係を整理しながら、足に気になる症状がある場合の対処法や、日常生活で意識したいポイントについて解説します。

下肢静脈瘤の主な原因

肢静脈瘤の主な原因|静脈弁の機能低下・長時間の立ち仕事や座り仕事・加齢や遺伝・妊娠出産

下肢静脈瘤は、足の静脈にある「静脈弁」がうまく機能しなくなることで、血液が逆流して起こる病気です。
静脈弁には、足から心臓へ戻る血液の逆流を防ぐ役割があります。
この弁が正常に閉じなくなる「静脈弁不全」が起こると、血液が足の静脈に溜まり、静脈内の圧力が高い状態(静脈高血圧)になります。
その状態が続くことで血管が拡張し、下肢静脈瘤が生じるのです。
このように、下肢静脈瘤の発症には静脈弁不全や、それに伴う静脈高血圧が大きく関係しており、ストレスが直接の原因となるわけではありません

また、静脈弁に負担がかかる背景には、長時間の立ち仕事や座り仕事、加齢、遺伝、妊娠・出産など、さまざまな要因があります。

静脈弁の機能低下(弁不全)

下肢静脈瘤の発症に大きく関係しているのが、静脈弁の機能低下です。
静脈弁が正常に機能している場合、血液は心臓へ向かって一方向に流れます。
しかし、弁の働きが低下すると血液が逆流し、足の静脈に溜まりやすくなります。
その結果、静脈内の圧力が高い状態が続き、血管が拡張することで下肢静脈瘤が生じます

長時間の立ち仕事・座り仕事

長時間同じ姿勢を続けると、足の静脈に血液が溜まりやすくなります
特に立ち仕事では重力の影響で足の静脈に負担がかかりやすく、下肢静脈瘤のリスクが高まります。
また、座り仕事でも足を動かさない時間が長くなると、血液が心臓へ戻りにくくなるため注意が必要です。

加齢や遺伝

加齢に伴って血管や静脈弁の機能が低下すると、下肢静脈瘤を発症しやすくなります。
また、家族に下肢静脈瘤の方がいる場合は、体質的な要因から発症リスクが高くなることがあります。

妊娠・出産

妊娠中は大きくなった子宮が足の静脈を圧迫し、血液が心臓へ戻りにくくなります。
さらに、妊娠中は女性ホルモンの影響で血管が拡張しやすくなるため、静脈への負担が増え、下肢静脈瘤を発症しやすいと考えられています。

ストレスは下肢静脈瘤の直接の原因ではない

ストレスは心身にさまざまな影響を与えますが、下肢静脈瘤を直接引き起こす原因ではありません。
前述したように、下肢静脈瘤は静脈弁がうまく機能しなくなる「静脈弁不全」によって血液が逆流し、静脈内の圧力が高まることで生じます。
そのため、強いストレスを感じているからといって、それ自体が下肢静脈瘤の発症につながるわけではありません。

一方で、ストレスが続くと睡眠不足や運動不足などにつながり、心身のコンディションが変化することがあります。
また、足のだるさや疲れなどの不調を感じることもあるでしょう。
このような体調や症状への影響と、下肢静脈瘤そのものの発症・進行への影響は、分けて考えることが大切です。

ストレスがあるから下肢静脈瘤になった、あるいは下肢静脈瘤が悪化したと自己判断せず、足の血管や症状が気になる場合は、医療機関で血管の状態を確認しましょう。

ストレスは足の症状や生活習慣に間接的に影響する

ストレスが足の症状や生活習慣に与える影響|自律神経の乱れ・運動不足・睡眠不足や生活リズムの乱れ

ストレスは下肢静脈瘤そのものを引き起こしたり、直接悪化させたりする原因ではありません。
一方で、ストレスが続くと心身のコンディションが変化したり、睡眠不足や運動不足など生活習慣が乱れたりすることがあります。
その結果、足のだるさや疲れなどの不調を感じることがあります。

ここでは、ストレスによって起こり得る体調や生活習慣の変化について紹介します。

自律神経のバランスが乱れることがある

ストレスが続くと交感神経が優位になり、自律神経のバランスが乱れることがあります。
自律神経は全身のさまざまな機能を調整しているため、バランスが乱れることで心身の不調につながることがあります。

運動不足につながることがある

ストレスや疲労が続くと、外出や運動の機会が減り、体を動かす時間が少なくなることがあります。
足を動かす機会が減ると、ふくらはぎの筋肉による「筋ポンプ作用」が十分に働きにくくなるため、適度に体を動かすことが大切です。

睡眠不足や生活リズムの乱れにつながることがある

ストレスは睡眠にも影響し、睡眠不足や生活リズムの乱れにつながることがあります。
十分な休息がとれない状態が続くと、疲労感やだるさなど、体の不調を感じやすくなることがあります。

ストレスがあるときに気になる足の症状

ストレスや疲れが続いているときに、足のむくみやだるさ、こむら返りなどの症状が気になることもあるでしょう。
ただし、これらの症状がストレスによって起こっているとは限りません。
下肢静脈瘤でも同様の症状がみられるため、「ストレスのせいだろう」と自己判断せず、症状が続く場合は足の状態にも目を向けることが大切です。

足のむくみ

下肢静脈瘤では、足の静脈に血液が溜まりやすくなることで、むくみが現れることがあります。
特に夕方になるとむくみが強くなったり、靴がきつく感じたりすることがあります。

足のだるさ

下肢静脈瘤では、足が重い、だるいといった症状が現れることが多いです。
長時間立ちっぱなしや座りっぱなしで過ごしたあとや、夕方に症状を感じやすい傾向にあります。

こむら返り

下肢静脈瘤では、ふくらはぎの筋肉が突然収縮する「こむら返り」がみられるケースがあります。
特に、就寝中や朝方に起こることが多いです。
足の症状が続いている場合や、血管の浮き出しなどがみられる場合は、ストレスによるものと決めつけず、医療機関で相談しましょう。

足の症状を和らげるために意識したい生活習慣

下肢静脈瘤による足の症状を緩和するためのセルフケアと生活習慣

足のだるさやむくみなどが気になる場合は、適度に体を動かしたり、長時間同じ姿勢を避けたりするなど、日常生活を見直すことも大切です。
こうした取り組みは症状の緩和につながることがありますが、静脈弁不全を改善し、下肢静脈瘤そのものを治すものではありません。
足の血管のふくらみや症状が続いている場合は、セルフケアだけで様子を見続けず、医療機関で血管の状態を確認しましょう。

ウォーキングなどの軽い運動

ウォーキングなどでふくらはぎの筋肉を動かすと、筋ポンプ作用によって足の血液を心臓へ戻す働きをサポートできます。
無理のない範囲で、日常生活に体を動かす習慣を取り入れましょう。

下肢静脈瘤と運動について、こちらの記事でくわしく解説しています。
ストレッチや筋力トレーニングなどのやり方などもご紹介しているので、ぜひ、あわせてご参照ください。

長時間同じ姿勢を避ける

長時間の立ちっぱなしや座りっぱなしは避け、こまめに歩いたり足首を動かしたりすることを意識しましょう。

十分な休息や睡眠をとる

疲労やストレスを溜め込まないためにも、十分な休息や睡眠をとり、生活リズムを整えることが大切です。

自分に合った方法でリラックスする

深呼吸や趣味の時間を設けるなど、自分に合った方法でリラックスすることも、心身のコンディションを整えるうえで役立ちます。

弾性ストッキングを活用する

弾性ストッキングは、足のだるさやむくみなどの症状緩和や、下肢静脈瘤の進行を抑える目的で用いられる保存療法の一つです。
医療用の弾性ストッキングを使用する場合は、医師の診察や評価を受けたうえで、症状や目的に合ったものを選ぶことが大切です。

下肢静脈瘤と医療用着圧ストッキング(弾性ストッキング)については、こちらの記事でくわしく解説しています。ぜひ、あわせてご参照ください。

足の症状が続く場合は医療機関で検査を

足のむくみやだるさ、こむら返りなどの症状は、ストレスや疲れがあるときにも気になることがあります。
しかし、こうした症状は下肢静脈瘤でもみられるため、「ストレスのせいだろう」と自己判断することはおすすめできません。
特に、足の血管が浮き出ている、夕方になると症状が強くなる、むくみやだるさが続いているといった場合は、一度医療機関で相談しましょう。

当クリニックでは、下肢静脈エコー検査によって、血液の逆流や静脈弁の状態を確認しています。
下肢静脈瘤の有無や血管の状態を確認したうえで、必要に応じて適切な治療をご提案します。
セルフケアは足の症状を和らげるために役立つことがありますが、静脈弁不全を改善し、下肢静脈瘤そのものを治すものではありません
足の血管や症状が気になる方は、お気軽に当クリニックにご相談ください。

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下肢静脈瘤とストレスに関するよくある質問

ストレスで下肢静脈瘤は悪化しますか?

ストレスが下肢静脈瘤そのものを直接悪化させるとは考えられていません。下肢静脈瘤は、静脈弁不全によって血液が逆流し、静脈内の圧力が高まることで起こる病気です。一方で、ストレスが続くと睡眠不足や運動不足など生活習慣に影響することがあります。下肢静脈瘤そのものへの影響と、体調や症状への影響は分けて考えることが大切です。

下肢静脈瘤は自律神経と関係ありますか?

自律神経の乱れが下肢静脈瘤を直接引き起こすわけではありません。下肢静脈瘤の発症には、静脈弁不全やそれに伴う静脈高血圧が大きく関係しています。ストレスによって自律神経のバランスが乱れることはありますが、下肢静脈瘤の病態とは分けて考える必要があります。

ストレスで足の血管が浮き出ることはありますか?

ストレスだけで下肢静脈瘤が発症したり、足の血管が浮き出たりするとは考えられていません。足の血管が浮き出ている場合は、下肢静脈瘤などが関係している可能性もあります。ストレスによるものと自己判断せず、気になる場合は医療機関で相談しましょう。

下肢静脈瘤の人はストレスを減らした方がいいですか?

ストレスを溜め込まないことは、心身のコンディションを整えるうえで大切です。十分な睡眠や適度な運動などを心がけましょう。ただし、ストレス対策によって静脈弁不全が改善したり、下肢静脈瘤そのものが治ったりするわけではありません。足の血管や症状が気になる場合は、医療機関で相談することをおすすめします。

ストレスによる足の症状と下肢静脈瘤は見分けられますか?

足のむくみやだるさなどは、さまざまな原因で起こるため、症状だけで原因を判断することは難しい場合があります。下肢静脈瘤でも、足のむくみやだるさ、こむら返りなどがみられます。足の血管が浮き出ている場合や症状が続く場合は、「ストレスのせい」と決めつけず、医療機関で血管の状態を確認しましょう。

参考文献

下肢静脈瘤|国立循環器病研究センター
下肢静脈瘤って?|日本血管外科学会
ストレスとは?自律神経系への影響|働く女性の心とからだの応援サイト(厚生労働省)

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